怖がりの愛犬が私に教えてくれた「断る勇気」。愛犬が知らない人や、初めて会う犬とコミュニケーションを取るときに、経験したお話です。
愛犬に教わった「断る勇気」
愛犬が歩けていたころ、愛犬と散歩をしていると「かわいいですね」と声をかけてくださる方がいました。
小さなお子さんからも「さわってもいい?」と聞かれることもありました。
ですが、愛犬は極度の怖がりのため、知らない人にさわられることをとても嫌がります。
愛犬が撫ぜられている間「かじったり吠えたりしないかな?」と緊張をする私。
飼い主の緊張は愛犬に伝わりやすいため、それも悪影響でした。
愛犬と私、ふたりとも緊張しながら声をかけてくださった方々と、コミュニケーションを取っていたのでした。
丁寧に断ればわかってもらえる
ある日、近所の小さなお子さんが愛犬にさわっているとき、愛犬の目を指で触れようとしていました。
小さなお子さんからみたら、愛犬の目はビー玉と変わりありません。
おびえる愛犬。私はとっさに「それは痛いからやめておこうか」と愛犬を抱き上げていました。
小さなお子さんは、不思議そうな表情を一瞬だけ浮かべましたが、すぐに別のものに興味を持ち、どこかへ行ってしまいました。
飼い主の判断ミスで、愛犬と小さなお子さんを不幸にするギリギリのラインだったと思います。
それを機に、私の中で何かがはじけ「断ってもいいのか」と考えるようになりました。
「触ってもいいですか?」と聞かれたら「すみません、この子怖がりなので、噛んでしまうかもしれないんです」と、丁寧に断るようにしました。
すると、大体の方が「そうなんですか、ごめんなさいね」と笑顔で答えてくれます。
断ることは決して悪い事ではありません。
これは対人間だけではなく、対犬にも絶対必要だと感じています。
犬はどのコも犬好きではありません。犬が苦手な犬もいます。
人同士のコミュニケーションが取りづらい昨今ですが、愛犬同士を近づけるなら、「近づけてもいいですか?」このひと言を伝えてみてはいかがでしょうか。
愛犬を悲しい咬傷事故から守るためにも、愛犬を知らない犬に近づけるときは、飼い主さん同士の了承を取ってほしいと願っています。
わかってもらえなかった悲しいエピソード
実際に体験したお話です。
愛犬を散歩していると、よく出会うご年配の犬連れの方がいました。
その方は執拗に愛犬に触ろうとします。断っても「犬とは云々……」と語りだし無駄でした。
逃げる愛犬を追うようにして触ろうとするため、とても困っていました。
「この方には、断っても無理だ」と思い、新しい戦略を考えました。
それが「電話がかかってきました戦法」です。
その方とお散歩で鉢合わせたとき、かかってきてもいないのにスマートフォンをポケットから取り出し、急な要件の話をしているふりをします。
そして素早く立ち去るという戦法です。
それを何度か繰り返していると、向こうも何となく気づいたようです。
きつく断るより、お互いが円満に遠ざかるひとつの方法だと気づきました。
断っても通じない方も、なかにはいます。
そのようなときは、ぜひ「電話がかかってきました戦法」を使っていただき、円満に愛犬の安全を守っていただけたらと思います。
大切な愛犬を守るためにも……
犬は怖さが極限に達すると噛むことがあります。
また、元気そうに見える愛犬たちも、体調不良の日はあります。
そのようなときに、知らない方や犬とコミュニケーションを取ることはとても危険です。
咬傷事故は噛む側も、噛まれる側も不幸にします。
人と密にかかわる、動物介在プログラムなどに参加する犬たちは、人に慣れるためのトレーニングを受けています。トレーニングを受けている犬でも、ハンドラーは愛犬の体調を考慮し、予定を変更することがあるのです。
犬たちに絶対はありません。
愛犬は大切な愛犬を守るためにも、知らない人や犬とコミュニケーションを取らない方がいいと思ったら、勇気を出して丁寧に断っていただけたらと思います。
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